雨で現場は中止 2018/3/5

こんばんはメディア班のNです。
本日は朝から降雨が続いたため、これまで出土した埴輪の情報登録と洗浄作業を行いました。

発掘調査ではさまざまなものが土の中から出土しますが、それぞれのものがどの場所・層位で出土したかをしっかりと記録することは非常に重要です。
物がまざらないように慎重に作業を行います。

ていねいに情報を記録する

登録作業が終わった遺物は、土がついているため、丁寧にハケで洗浄します。
初めて発掘調査に参加した学生には遺物に触れる良い機会になったのではないでしょうか。

洗浄しながら遺物の観察も行う。

今週の予報では雨の日がまだ何日かあるようですが、天候に負けず明日以降も引き続きていねいな調査を行っていきます。

~コラム~ 円筒埴輪と古墳の築造年代

今回の発掘調査では円筒埴輪が数多く出土していますが、この円筒埴輪はそれが立てられた古墳の築造年代を知る上で、大きな手掛かりとなります。

例えばスマートフォンの形がシリーズごとに大きくなったり、薄くなったりするのと同じように、実は円筒埴輪の形も時期によって変化していくことが今までの研究でわかっています。

円筒埴輪の編年表(廣瀬時習編2009『百舌鳥・古市大古墳群展~巨大古墳の時代~』大阪府立近つ飛鳥博物館 p.72より引用)

以下では埴輪を観察する際の視点についていくつかみていきましょう。

①焼成…埴輪には窯で焼いているものとそうでないものがあります。万籟山古墳の埴輪は観察すると黒斑という、窯で焼いてない埴輪にみられる特徴が現れています。そのため窯では焼かれていないⅠ、Ⅱ、Ⅲ期に見られるような古いタイプの埴輪であるようです。

②はけ…「はけ」とは埴輪の表面にみられるバーコードのような痕跡なのですが、これは円筒埴輪を形づくる工具が使われたときにつく痕跡と考えられています。埴輪についた土を洗っていきながら、こうした痕跡がつけられた方向などを観察します。

③突帯…突帯とは、円筒状の埴輪の周囲に巻きつけられている粘土の紐のようなものです。この突帯の断面がどのような形をしているのかなども、埴輪の時期をみる手がかりになります。

⑤スカシ孔…スカシ孔とは、埴輪の胴体部分にあけられた窓のような部分のことです。埴輪のスカシ孔には四角形(□)や三角形(△)、円形(〇)をはじめとした様々なものがありますが、時期によって流行する形が違ったりするため、出土埴輪の中にどのような形状があるかを観察することも重要です。

もちろん上記以外にも埴輪を見る視点はたくさんあります。

こうした様々な特徴を、発掘調査の途中はもちろん、調査が終わったあとにも継続して分析・検討していくことが、発掘調査の成果をより正確に評価することにつながっていくのです。

引き続き頑張りたいとおもいます!(N)

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