調査三日目は雨でひとやすみ

こんばんわ。ブログ担当のUです。
本日はあいにくの天気であったので、現場作業は休みでした。

ということで、今日のコラムは、埴輪(はにわ)第1弾をお届けします!

今回担当してくれるのは、埴輪大好きK君です。

濃厚なハニワールドへ、いざ!

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〈コラム:埴輪の世界〉

第一回 埴輪とは何か

はじめまして!四六時中、埴輪のことを考えているKです。

今日のブログでは、埴輪の話をしましょう。

埴輪とは、古墳に立てられる土製品(どせいひん)のことを指します。同じ土製品でも、縄文時代などの「土偶(どぐう)」とは、時代もカタチもおおきさも全く異なるものです。

■埴輪の種類

埴輪と言えば人や馬の形をした埴輪を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、それだけではありません。

まず、埴輪には大きく分けて「円筒(えんとう)埴輪」と「形象(けいしょう)埴輪」の2種類が存在します。

 

形象埴輪は

・偉い人にさしかける傘を模した蓋形(きぬがさがた)埴輪
・盾を模した盾形(たてがた)埴輪
・さまざまな種類の鳥を模した鳥形(とりがた)埴輪(鶏形や水鳥形など)
・家を模した家形(いえがた)埴輪
・人物(じんぶつ)埴輪、馬形(うまがた)埴輪

などの総称です。

 

 

一方で、円筒埴輪は、土管状の形をした埴輪のことで、下から上まで筒状をしている普通円筒(ふつうえんとう)埴輪と、下が筒状で上が大きく広がる朝顔形(あさがおがた)埴輪に分けられます。

 

普通円筒埴輪の原形は、弥生時代に、岡山県などで築造された墳丘墓(ふんきゅうぼ)において供えられた、特殊器台(とくしゅきだい)と考えられています。


また、朝顔形埴輪の原形は特殊器台の上に壺(つぼ)をのせた様子であると推定されます。

 

■埴輪の考古学的な意義

埴輪は、人物埴輪などのように芸術的価値があるだけではありません。古墳の時期を決める”ものさし”になるほか、古墳時代という時代の特徴を知る手がかりともなります。

例えば、人物埴輪の服飾や家形埴輪の形などから、当時の衣・食・住を復元することができます。とくに衣類などは有機質であるために土中で分解され、発掘調査で出土することは極めてまれです。当時のファッションを復元するために、埴輪がもっている情報は貴重です。

また、埴輪にはさまざまなつくり方やその癖があり、用いられた技術や方法を観察することによって、つくり手の集団を復元することができます。もし遠く離れた古墳に同じ埴輪づくりの特徴をもつ埴輪が出土すれば、同一あるいは同じ流派の埴輪製作集団を推測することができ、この背景に人やモノを融通しあうような被葬者間のつながりを想定することもできます。したがって埴輪は、古墳被葬者の政治的な関係にまで踏み込んで議論することができる考古資料といえます。

今回、わたしたちが調査を行っている万籟山古墳が位置する猪名川(いながわ)流域では、万籟山古墳と近い時期の古墳が何基か存在しますが、これらの古墳の埴輪をつくった人たちと万籟山古墳の埴輪をつくった人たちは同じなのでしょうか、違うのでしょうか。また、違う場合、どの程度の交流があったのでしょうか。

このような視点は、猪名川流域における各小地域の交流度合いをはかる上でも欠かせないものになります。

さて、今日は埴輪の種類と埴輪研究の意義を説明しましたが、そのつくり方や配置の仕方、時期決定の方法などについては十分に説明できませんでした。まだまだおはなししたいことがありますので、この続きはまた今度ということにしておきましょう。(K)

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