現場初日

今日から発掘現場作業の開始です!

本日は調査初日ということで、発掘調査に使う機材の搬入作業と伐採がおもな作業となりました。

今回、調査する万籟山古墳は険しい山中にあり、人の立ち入りがないため、昨年伐採作業をした場所もすぐに草が生えてきてしまいます。ですので、毎回調査の前にはしっかり草を刈って、古墳のカタチを出すことが大切なのです。

また、古墳からは大阪~神戸の景色がよくみえます。

発掘調査というと、土をドンドン掘っていくイメージを持たれる方が多いかとおもいますが、安全に調査ができるように周辺環境の整備をおこなうことも、同じくらい大切な仕事です。

けが人が出ないよう、しっかり調査を進めていきたいと思います。

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さて、まだ調査が始まったばかりで成果がありませんので、本日は古墳時代にかんする用語のコラムをお届けします。第1回はこちらです!これでみなさんも古墳好きになりましょう。

〈第1回:竪穴系埋葬施設(たてあなけいまいそうしせつ)〉

トンネル状になった石の通路を通って、石棺などがおかれた部屋にはいることのできる埋葬施設は、一般に横穴式石室と呼ばれます。古墳というと、こうした横穴式石室を思い浮かべる方が多いかもしれません(下図の右側です)。

 

埋葬施設のうつりかわり

 

たいして竪穴系埋葬施設は、古墳のてっぺんなどから大きな墓穴(「墓壙(ぼこう)」と呼ばれます)を掘って、そのなかに棺おけを入れる埋葬施設の総称です。特に古墳時代前期から中期はこうした埋葬施設が主流となっています。

 

墳丘と竪穴系埋葬施設の関係

 

今回は、竪穴系埋葬施設のうちから代表的なものをご紹介しましょう。

①竪穴式石室(竪穴式石槨)

木棺のまわりに小さな石材を多量に積み上げて、密封する施設です。一番上には巨大な天井石がかけられており、棺を厳重に封印する思想が読み取れます。

かつて大阪大学が調査に携わった滋賀県雪野山古墳や、今回調査する万籟山古墳が代表的な例です。

雪野山古墳の竪穴式石室

②粘土槨(ねんどかく)

棺を大量の粘土で完全にパックしてしまうもので、竪穴式石室と違って棺の周囲に隙間がない点が特徴です。

過去調査された事例では、丸太状の工具で粘土の表面をたたきしめた痕跡がみつかっており、棺をつくったひとびとが、亡くなった首長の遺体を厳重に密封しようとしたことがよくわかります。

代表例としては大阪府の庭鳥塚古墳や、大阪大学が過去に調査を行った兵庫県長尾山古墳が挙げられます。

粘土槨(長尾山古墳)

埋葬施設にもいろいろありますが、特に古墳時代でも前半期の埋葬施設には、首長の遺骸を厳重に封印する思想が表れているといえます。

そうした思想の源流は中国の漢帝国にあると言われていますが、日本で独自の変化を遂げたものともいえるかもしれません。前方後円墳という世界的に見ても変わった墳墓とあわせて、そのルーツや反映された思想をよみとくことは、考古学者の大きなテーマの一つです。

 

これからも少しずつ、古墳にかんするコラムをお届けしようと考えておりますので、お楽しみに!(U)

“現場初日” への 2 件のフィードバック

  1. 見晴らしのいい古墳の調査、とても懐かしい!朝晩は冷えますが、皆さん体調に気をつけて、良い成果があがることをお祈りしています。コラムも楽しみにしてますよー♪

    1. 828ai様

      コメントありがとうございます。無事調査を終えられるよう、一同頑張ります!
      今後とも応援のほどよろしくおねがいいたします。

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